自由になりたかった。
海外に強い憧れを持っていた私は、いつでもどこにでも、自分の気持ちひとつで旅立てる自由を心から望んでいました。でもそうなっていない自分の現実を、ずいぶんと長い間、やるせない気持ちで受け入れていました。
ここ数年「自由に生きていますね」と言われることが増えました。言われてみれば、その頃に願っていた自由というものを、手に入れられているのかもしれない、と気が付きました。
通勤とミーティングのない仕事があり、はたらく時間はそれほど長くなく、おまけに想定外に、愛息子という旅の連れ合いまでついてきた。お金はそれほどたくさんは持っていないけれど、好きな旅先へ訪れたり、大切な人のために使うことも選べる。
たぶん想像していたのより、わるくない。
旅立つ自由を渇望していた頃から、気づけば二十年ちかく経ちました。
遠回りばかりだったけれど、それぞれを振り返ると、思い込みを一旦置いて、そして自分にとって必要なことかどうか、を考えてきたのが良かったのかもしれないな、と思います。そのひとつひとつは小さな選択ですが、積み重なったことで、思ったより遠くまで来られていたようです。
自分の中で積み重なったものを整理して、言葉にしてみたいと思います。これから旅に出る誰かの、小さな道しるべになったらうれしいです。