「バンライフ仕様車を最強の防災対策車にする手引き:インフラ編」の続き。
先に↓を読んでからのほうがわかりやすいと思う
後編:衣食住をととのえる
食品
おおよそ1ヶ月分くらいの備蓄を常に置いてある。いつも食べるものを多めに持っているだけで、防災用に特別なものは持っていない。メインはすべて乾物で、それを基本の調味料だけで調理している。油は使わない。
今後、バンライフのための食事について詳しく書くつもりだが、備蓄しやすい食材を使った質素な食事を日々慣れておくことが大事だ。困った事が起きたとき、普段食べもしない乾パンをいきなり差し出されたところで、不安と不満を膨らませてしまうだけだろう。
ちなみに我が車には冷蔵庫はなく、クーラーボックスがあるだけだ。本当は調味料は保冷がいいのだろうが、真夏の車内に味噌を置きっぱなしにしていてもひとまず食べられているので、深く考えないようにしている。(将来的には非電化の冷蔵庫を作るつもりだ)
寝具
いつも寝る時に思うのだが、ほかはさておき寝床の環境がよければ幸福度は高い。我が車の寝床のベースは、世界的に有名な家具デザイナー、ウェグナーのデイベッドだ。ここに、夏はサラサラのリネンのシーツを敷き、冬はもこもこの毛布を敷いて寝る。幸せそのものだ。
普段は快適なソファだが、寝るときは背もたれを上に跳ね上げてベッドにできる。背もたれの後ろに上に掛けるもの(しかもかなり多くの量)を収納できるという画期的な品で、もはや私のためにウェグナーがデザインしてくれたかと思うほどだ。
このデイベッドのように、下にも背中にも荷物が置けると、大容量の収納が作れる
バンライファーの多くはシュラフ(寝袋)を使う人も多い。私もアウトドアブランド・LOGOSの「丸洗いやわらかあったかシュラフ」という幸せなネーミングのシュラフを持っており、同居人(5歳)はこの中に沈める。小さい子どもは総じて寝相の悪い生き物だ。すっぽり全部を覆ってくれるシュラフは、とても合理的な子ども用寝具だと思う。
トイレ
折りたたみのポータブルトイレを準備している。SOLCIONというメーカーのPATATTO250+という製品で、トイレとしてだけでなく椅子としても使える優れものだ。普段仕事をする時はこの椅子に座り、デイベッドにパソコンを乗せて使っている。PATATTOというだけあってかなり薄くたためるので、使わないときはベッドの裏にそっと潜めておける。
実はここにパタットが潜んでいる
トイレとして使う場合は、椅子の座面を外してそこに大きめのビニール袋をかぶせ、凝固剤をビニール袋に入れて使う。使った後は袋をはずし、BOSのにおわない袋に入れておしまい。水分を吸った凝固剤はそれなりにかさばるゴミとなるのが課題ではあるが、これ以上に快適かつ清潔に済ませられる方法は他に考えつかない。
いざという時になって使ってみようとすると抵抗があると思うが、普段から慣れておけば本当になんてことはない。どんな山奥でも長い間滞在できるようになったり、夜に調子良く深酒をしたとしても、外に出ずに用が済んだりと恩恵が大きい。いまでは必需品だ。
お風呂
お風呂は当然ながら車で入ることはできない。Youtubeか何かでバンライフ車に手製のシャワーを付けている人がいたが、水の手配や処理はどうするのだろう、と不思議に思う。
そのため私は年がら年中温泉生活で、これがなかなか愉しく日々上機嫌なのだが、被災した場合はそれもかなわないだろう。そのための備えも必要だ。
続編の「最強の防災対策車を使いこなすための手引き」で詳しく書くが、いつもの生活をそっくりそのまま車生活に持ち込もうとしない、ということは基本となる。これは慣れるまでに時間がかかるので、やる気のあるうちに少しずつ準備していくといいと思う。
空調
前の記事でお伝えした通り、我が家の電気は最大で1600Wだ。いつでも満タンになっているわけではないため、実際にはもっと少ない。空調は想像以上に電力を使うので、電気を使わないで快適に過ごす工夫は色々試してきた。
冷房
エアコンは早々に候補から消え、小型の扇風機だけにとどまった。先に伝えておくと、これだけでは都市での夏は乗り切れない。窓を開けても外がうるさかったり空気がわるかったりでちっとも快適に過ごせないので、どんどん人里離れた場所に居座るようになった。
8月の美ヶ原。厚手パーカーでも肌寒くて最高
冷房が必要な季節には、標高の高い山で過ごすのが一番だ。100m登るごとに0.6℃下がるといわれているので、1000m級の山であれば外界より6℃低い。熱帯夜(25℃以上)と呼ばれる夜でも、窓を閉めて寝られるようになる。エアコンは経済活動が空気を汚した結果に生まれた負の産物だと、やむを得ず都会で夜を過ごす羽目になったときはいつも思う。
他に扇風機だけでなんとか過ごせるとしたら、せめて人の少ない町あたりだろう。窓を開けて過ごせるくらい静かで安全性の高い場所なら、なんとかなる。この場合は、モスキートネット(蚊帳)は必須だ。
暖房
考えてみれば、暖をとる道具で電気を使わないものは少ない。灯油のストーブを使っているが、これが一番いいと思う。そういうとよく一酸化炭素中毒の心配をされるが、私の使っているトヨトミのレインボーストーブは、なぜか一酸化炭素が一切でない。もちろん住宅用の一酸化炭素チェッカー(新コスモス電機のCOALAN)も使っているが、常にメーターは0を指している。
レインボーストーブ(癒)
車はフロア面積がたった畳3枚分なので、燃料はかなりもつ。湯たんぽを使ってもいいが、今のところストーブだけで問題ない気がしている。温かい空気が上に溜まるので、夏に用意した扇風機は冬でも活躍中だ。
ちなみに、私の2台目のバン(フォルクスワーゲン・バス)には、納車前にFFヒーターを入れてもらうことにしている。FFヒーターとはカンタンにいうと、車の燃料(ガソリン)を室内の暖房としても使える仕組みで、キャンピングカーにはよく使われている。もし車を買う時に取付してもらえるなら、絶対こちらを選んだほうが良い。暖房器具を別に用意する必要がないし、ストーブのように別のオイルを用意する必要もない。おまけに一酸化炭素中毒の心配もない。
納車されたらFFヒーターの写真と差し替えるので、しばらくこれで
最強のシェルターをつくるまとめ
今まで旅をしている中で、バンで生活しているなんて生ぬるいですよね、と思うくらいのハイレベルなサバイバル生活をしている人に何人も会ってきた。
ある人はリアカーで、またある人は自転車で日本一周していた。屋根のない公園のベンチで寝るなど、私にはとてもじゃないがそんな芸当はできない。
バンで暮らすということに、そこまでの根性も体力も必要ない。必要なのは慣れだけだ。なにもフルタイムバンライファーになる必要もないので、週末や連休だけ、などから始めるのでもいいと思う。
もし試してみたい人がいたら、私の初代デリカカーゴは近々(VWバスが納車されたら)お貸しできるようになるので、下のInstagramのアイコンから気軽に連絡してほしい。
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