この記事はこんな人の役に立つだろう。
◉ 主に車で生活するつもりの変わり者なあなた
◉ 細かい分析や比較が苦手なザックリ派のあなた
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ある冬の日、持ち物の90%以上を処分し、住んでいた家を解約した。というのも当時の私は退屈な日々にすっかり飽きていて、この人ちょっとおかしいのかなと思われるような、ほとんどの人がやらない風変わりな何かを始めたい気分だった。その手始めに商用バンを改装し、専業バンライファーになることにした。
ビフォー・アフター
今回は快適に住むための車選びについてお伝えする。自ら改装して暮らした経験を踏まえている(そしてその上で2台目も選んでいる)。私の反省を踏み台にし、いい一台と出合ってほしい。
車の大きさを考える
バンライフ車には大きく分けると3タイプある。大型バン、軽バン、そしてキャンピングカーだ。そして結論から言うと、大型バン一択だ。私の所有する三菱デリカカーゴ、2台目のフォルクスワーゲンT2(フォルクスワーゲン・バス)はともに大型バンだ。
その理由は見ての通り、軽バンは小さすぎるし、キャンピングカーは大きすぎるからだ。(完全に主観だが)大型バンに乗る私が、軽バンとキャンピングカーより大型バンがお勧めな理由を述べてみたい。
(※大型バン:国産車ならトヨタのハイエース、日産のキャラバン、三菱のデリカD:5など。外国車ならメルセデスのスプリンター、フィアットのデュカートなどを指す)
2台目のVWバスも大型バン
軽バンについて
小さい軽バンだが、実はバンライファーに人気だ。もしかしたら軽の人の方が多いかもしれない。ただ考えてほしい。我が愛車(大型バン・ロングタイプ)ですら、そのフロア面積はたったの畳3枚分だということだ。一方で軽バンの平均は1.5畳程度。どちらもスーパー狭小住宅には違いないが、この1.5畳の差はかなり大きい。
何人かで暮らすならなおさらだ。私には生活サイクルがちがう同居人(5歳)がいる。彼は一日に10時間眠る。空間を分けて使うには、最低でも3畳は必要だろう。
また3畳あれば、空間を完全に部屋のようにデザインすることができる。デリカには180cm×90cmの大型ソファを置いている。これのおかげで車内は完全に部屋であり、同居人とも無理なく生活を分けることができる。
これが軽バンであれば、一つの場所にいくつもの機能をもたせる必要がある。たとえば、料理をするときは壁に板を渡して机として作業し、寝るときにはその板を外し、天井に忍ばせておいたクッションをマットレスとして敷く、というように。(この説明では具体的にイメージできないかもしれないが、私も経験していないので実はイメージできてはいない)
誰でもそう器用にテトリスができるわけではない。特にあなたがO型であれば、小さすぎる空間で頑張らない方がいい。なんでも血液型O型の人は(本当かどうかは確かめていないが)立体的に空間を使う能力があまり高くないそうだ。(そういう私は典型的なO型人間だ)。
キャンピングカーについて
キャンピングカーはその大きさゆえに、本当の意味で自由に動くことができない。バンライフの醍醐味の一つは、自然豊かな山奥など宿泊施設がないところを寝床にできることだ。キャンピングカーはほぼトラックなので、その多くの場所に入っていくことができない。おまけに、多くの都市の駐車場にも停められないだろう。
なんだか小言めいてしまうのはどうかお許し頂きたいのだが、キャンピングカーはその大きさとデザインゆえ目立ちすぎる。私たちバンライフ民は、社会の仕組みが機能してくれているおかげで移動の自由を手にしているのだ。いつでも謙虚に街並みに溶け込めるような気遣いが必要だと思う。
(カメレオンを見習ってもらい、ボディがせめて真っ白ではなく、最近人気のくすみカラーなどであれば、少しは溶け込むのだろうか)
燃料と燃費を考える
車の燃料代×燃費
ご存知の通り、この計算式で家賃(=ガソリン代)が決まる。一番リーズナブルなのは軽油で低燃費な車だ。
ちなみにデリカカーゴは軽油で、燃費は10~11km/L。最近の低燃費車と比べるとかなり燃費が悪く感じるが、大型バンの燃費は大体これくらいだ(一般的に市街地でおよそ5〜10km/L、高速道路などで7〜12km/Lほどだそうだ)
維持費を最優先で考えるなら、大型バンよりは小さいが7人乗りのハイブリッド車(ミニバン)もいいかも知れない。大型バンはパワー重視で開発される傾向にあるらしく、現時点ではハイブリッド車は存在しないようだ。
マニュアル車は低燃費
マニュアル車のほうが燃費がよくなる可能性がある。我がオートマチック車と同車種でマニュアル車だと(運転者の工夫によるが)13~15km/L出る車もある。
私は1日200kmほど走ることも多い。これだけ走るとオートマ車で18.2Lほど使うが、一方マニュアル車では15Lで済む。近頃の軽油の平均価格は155円ほどなので、1日あたり500円、月にすると15,000円以上も差がついてしまう。特にこだわりがないのなら、マニュアル車のほうが良いと言える。
中古車か新車か
私は当初より内装全部を改造するつもりだった。どのみちボコボコにするのだから、新車より中古車の方が遠慮なく破壊できるだろうと中古車から探した。
結果(今はほとんど問題がなくなったが)我が車は1年の間に3度も入院(=ディーラーで修理)する羽目になった。もちろんすべての中古車がこうなるわけではないが、意外と車がカンタンに故障することを知った。
商用バンの中古車があぶない理由
お世話になった三菱ディーラー担当の方から、とても重要なことを聞いた。商用バン(デリカカーゴのような、荷物を運ぶために生まれてきたバン)は、中古で出ている時点でもう安楽死寸前のものが多いという事実だ。
言われてみれば納得できるのだが、商用バンのほとんどは、法人が業務で使い倒す前提で購入する。そして使うだけ使い(しかもそんなに大切に手入れはされない)それなりにガタが来てそろそろ買い替えるか、というタイミングで手放される。家庭の車のように何年か乗ったら下取りに出し、買い取ってもらった分を元手に次の車を買おう、という流れとは全くちがうのだ。
それでも、ディーラーの認定中古車で出ている車であれば、前オーナーがどこの誰かも、メンテナンスの状態もわかっているのでほぼ問題がない。ただ、商用バンがディーラーの中古車で出ることはごくごく珍しいそうだ。長く勤めているディーラーの営業担当者から、デリカカーゴを初めて見た、と言われたほどだ。
三菱のディーラーは親切
デリカカーゴは古いため部品も手に入りにくい。最初に持ち込んだ町の工場では、むずかしいのでディーラーに持って行ってくださいと言われてしまった。こんなにあちこち手を加え尽くした改造車をディーラーに持参するのはかなり気が引けたが、動かないのだから仕方がない。
ところが予想に反し、ものすごく丁寧に対応して頂き、逆に驚いた。常にトラブルは旅先で起こるため、何軒かのお店でお世話になったが、どこのお店も同じだった。諦めず手を尽くしてくださり、我が車の持病は回を重ねるごとに改善した。今ではかなり安定している。
特にこだわりがないなら、改造車でも親切に対応してくれる三菱はとてもおすすめだ(今後、三菱ディーラーに改造車が殺到してご面倒をおかけしたら申し訳ない)。
いつかはこの子も古くなる
不意に電波のない路上でエンジンが止まり途方に暮れる、というトラブル(実話)を避けたいなら、中古車で探すならディーラーの認定中古車、もしくは新車がいい。ただ、新しい車もいずれは古くなり、少しずつガタが来るのだ。初期から少しずつトラブルに遭ったことは、私にとっては良い経験だった。そしてデリカカーゴへの愛は変わらない。
2台目にVWバスを選んだ理由
デリカカーゴは(計画性がないまま改造したにしては)いい出来栄えだと思う。モロッコの洞窟風の落ち着く空間に仕上がったし、長年憧れだったソファで快適に眠れる。料理や食事をするスペースもあり、パソコン仕事もできる。充分な収納スペースもある。
お見合い写真がいつも同じになる理由がわかる
2台目WVバスは、(街に溶け込めるデザインの)キャンピングカー仕様だ。これはほとんど衝動買いであり、デリカになにか特別な不満があったわけではない。ただ結果的にデリカになかった機能がいくつか追加されている。
- デスクワークのスペース(シートと高さのあった可動式テーブル)
- キッチン台(ガス台、シンク)
- ポップトップ(跳ね上げることができる屋根)
- 跳ね上げた上段に現れるベッド
納車前なので、写真がこれしかなくて恐縮です
デリカカーゴで唯一、スペース不足のためほしかったが作れなかったものはデスクワークのスペースだった。2台目はそれが解決する。
逆に自分でDIYしたバンライフ車でも、(計画性をほとんど持ち合わせていなくても)それなりに満足できるレベルに作ることができるとも言える。
くるま選びのまとめ
勢い重視でさっさとバンライフを始めたかった私が(かなり甘い調査のすえ)デリカカーゴを選んだ決め手は、
- 価格と入手しやすさ
- 姿かたちのレトロな可愛さ
- あまり乗っている人がいないから
の3点だった。
そしてしばらく住んでみたうえで、最低限おさえておきたいポイントについてお伝えした。ただここに予算や形の好みなどが加わると、選択肢は無数にある。データと感覚を大切にして頂き、お気に入りの一台との出合いがあることを願っている。