後先を考えずにくるまを破壊した人のための構造変更検査の手引き

この記事はこのような人の役に立つだろう。

◉ 細かいことよりまずバンライフを始めたい、勢いを大切にするあなた
◉ 同じく何も考えずに破壊した車を所有しているが、車検や構造変更検査が気がかりなあなた

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安楽死寸前の商用バンをバンライフ仕様に改造した。本来ならきちんと調べたうえで、あとに問題が起こらないようにしてから始めるべきところだ。ところが当時の私は多少のストレスもたまっていたし、家を捨てたことによって気分が上がってもいた。その結果、気づけば後先考えずそのほとんどを破壊していた。

そんな破壊した車には、ふつうの車検を受ける前に「構造変更検査」という別の検査が必要だ。これは本来なら「車検には通らない車」を、運輸局で改造したところのチェックを受けることで「車検に通る車ですよ」というお墨付きをもらう検査のことだ。この記事では構造変更検査のことを、カンタンに「検査」と表すことにする。

おしながき

検査が必要かどうか

例えばこのような改造をした場合は検査が必要だ。

  • サイズを大きくした、または小さくした(数cmでも)
  • 乗れる人数を変えた(座席をはずしたなど)
  • エンジンをいじった

バンライフ仕様車にする場合、上にソーラーパネルを載せる、横や後ろにハシゴをつける、後ろの座席をはずすなどは一番やりそうなことだが、このあたりを行なった場合、ほぼ検査が必要だといえる。

エンジンなどのむずかしい改造については、どうやっても検査に通らないケースがあるようだが、私たちのようなシンプルなバンライフ民にはあまり関係のないことなので気にしないで大丈夫だ。

検査を受ける時期はいつがいいか

結論、車検と同時が一番いい。

検査を受けた場合、前に受けた車検の残りの期間はなかったことになる。元々の条件とはちがう車に変身したのだから、元の許可が取り消されるのは納得できる。そういうわけで、検査と同じタイミングで車検を受けないと、家にも帰ることができない。

(これは建前の話だが)改造した時点で「お墨付きのない車」になっているので、本当はそのタイミングで検査を受けなければならない。だがその場合、もし改造が前回の車検の翌月だったとしたら、前月につづいて今月も車検を受けることとなる。実際のところ、これは現実的ではない。

勢いも大切だが、もし少し冷静になれる瞬間があるのなら、検査が必要な改造は車検の当月に終わらせるのが一番いい。

検査を受ける方法

自分で手続きに行けば問題ない。

検査の方法は「自分で陸運局で手続きする」か「専門店にお願いする」の二択だ。確かに専門店にお願いできると安心ではある。

しかしながら朗報がある。(後先考えずに車を破壊するだけあって)私はなんの準備もせずに検査に出向いたのだが、なにはともあれ通過できたのだ。

すなわち、検査は(誰かに何万円も払ってお願いするほどには)むずかしいものではないといえる。いくつかのコツお伝えさせて頂くので、ぜひ自分で受けてみてほしい。

自力で検査に行くための手引き

手続きの流れはカンタンにいうとこんな感じだ。

STEP
書類の準備をする
STEP
書類を書く
STEP
手数料や税金、保険料を払う
STEP
検査を受ける
STEP
許可をもらう

必要な書類はこちら。

  1. 申請書
  2. 自動車検査証
  3. 自動車検査票
  4. 点検整備記録簿
  5. 自動車損害賠償責任保険
  6. (共済)証明書
  7. 手数料納付書
  8. 自動車重量税納付書
  9. 納税証明書

うわー、めんどくさ。

と思ったのは私だけではないと思うが、実は大したことはない。中身をわかりやすく分けるとこうなる。

(私のようにズボラな人間であっても)車検証と一緒に車に載せてあるはずのもの

2と4

運輸局の窓口でもらった紙に記入するだけのもの

1と3

運輸局の窓口で支払ってもらえる紙もの

残りの全部(5・6・7・8・9)

持っている書類のどれが要るものなのか分からない場合は、まとめて窓口で出し、必要なものだけ抜き取ってもらうのでもいいと思う(私はそうした)。窓口の方は思った以上に親切だった。

あらかじめオンラインで書類を作ることもできるが、(主観だが)余計にいやになるだけなので、おとなしく窓口でもらった紙にその場で書けばいいと思う。

検査の注意点

全部おろすこと

検査では車のサイズと重さを測る。人間の身体検査で下着以外の身ぐるみを剥がされるように、すべてを下ろすよう指示される。車にある荷物とスペアタイヤは、全部おろして検査場へ向かうほうがいい。

あなたはスペアタイヤを外せるか

検査の前の日までに下ろしておくのがおすすめだ。スペアタイヤはほぼ使われていないせいか、すんなり取り外せないことがある。我が車は古さのためか、スペアタイヤを固定してあった金具がガッチリ固まっており、レンチで少しひねったくらいではびくともしなかった(結局、オートバックスへ駆け込むこととなった)。

外部装備を外す

下調べをしなかったがために、ひとつだけ悔やまれることがある。天井のソーラーパネルを外さずに検査へ出向いたことだ。

改造で車が数センチでも大きくなったら検査が必要となるのは先にお伝えしたが、さらに場合によっては自動車の種別が変わる。

カンタンにいうと、「普通のバン」として決められた大きさよりも、我が車はソーラーパネルのぶん背が高くなってしまった。その結果、大型トラックと同じ種別に分けられてしまい、今後は高速道路料金や保険の類と少しばかり多めにお支払いする羽目になった。

ソーラーパネルはルーフキャリアに取り付けているので、外そうと思えば外せる。外してから検査すれば種別は変わらなかったのだろう。しかたがないので、これから保険会社に連絡と、ETCの再セットアップをしようと思う。

固定のものはそのままで大丈夫

内壁に固定したもの(もう外せないもの)はそのままで計測される。ひと昔前は固定のものもクギを外してまで下ろす必要があったそうだが、今はかなり優しくなっているようだ。我が車のソファは置いてあるだけだが、備え付けの家具として登録してもらった。

まとめ

最後に、検査を受けるうえで大事なマインドセットをお伝えして終わろうと思う。それは「こちらが改造車など持ち込んでイレギュラーな対応を求めているのだから、ご面倒をかけて申し訳ないなという謙虚な気持ちで挑むこと」だ。

正直にいうとこれは楽しいイベントではない。だが手続きをさせてもらえるお陰で、その後1年は車で暮らせるのだ。神聖な儀式のひとつとして、一日捧げるつもりでのんびり向かうのが良いと思う。

以前、中国の知人へ車の写真を見せたところ、まさに憧れの生活だが、中国は規則が厳しいから難しい、と言っていた。日本の制度には感謝してしかるべきなのだ。

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